リモート環境で信頼されるためのテキストコミュニケーションの「7つの極意」 – CNET Japan


 今回も前回に引き続き、リモート環境下での信頼醸成、リモートトラストのキーポイントである「相手の立場を慮るスマートな優しさ」の伝え方をテーマに進めます。前回はビデオで感情や心の機微を伝え、親近感と信頼の醸成を図るために僕が心がけているTipsをお伝えしました。今回はそのテキストコミュニケーション編です。

 リモート環境下のコミュニケーションは、ビデオ(同期型)とテキスト(非同期型)の2つがメインになりますが、感覚的になじみやすいビデオに比べテキストはコツが必要です。逆に言えば、ちょっとしたコツを知ることができればコミュニケーションの質は一気に上がります。

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 僕の周りでも、テレワークが苦手だという方はテキストコミュニケーションが苦手な場合が多いですし、そんな方に以下のTipsをお伝えして劇的に改善した例もあります。Slackなどのメッセージングツールの利用を想定したものですが、応用の幅は広いと思いますのでぜひお試しください。

テキストコミュニケーションの「7つの極意」

(1)最初の行にポジティブ発言

 テキストを読むのは意外と面倒なものです。そこに「面倒くさい依頼が飛んできたかも」という先入観が加わると読むのはさらに億劫になります。その億劫さを払しょくするには、まず目に飛び込んでくる一行目にポジティブなフレーズを書き込むことです。元気のよい挨拶、丁寧なお礼の言葉、何でもいいので相手を尊重する優しさが感じられるひと言を冒頭にいれると相手の心にぐっと届きやすくなります。

(2)できるだけ早く返信

 なかなか返信が来ないと、メッセージが読まれていないのではないか、返事が来ないのは自分の意見に賛成できかねるということではないか、などと不安が募ってきます。じっくり考えて返信したいときには「ありがとう!! 後ほどちゃんと返信します!」のような短文でよいので、できるだけ早い返信を心がけましょう。返信が早いほど、相手の不安は小さくなります。

(3)感謝の言葉は惜しみなく

 テキストコミニケーションだと感情がなかなか伝わりにくいというのは、以前お話しした通りです。でも感情をダイレクトに伝えられる言葉もあります。最も効果的なのは「ありがとう」のひと言。感謝を惜しみなく伝えることで、他の人とは一段上の信頼を得ることができますし、自分自身もポジティブな気持ちになります。

(4)語尾に感情と親しみを

 テキストで手間なくこちらの感情を伝えるための秘策がこれです。例えばお願いしにくいことを依頼する場合も、「○○お願いします」なのか「○○お願いします〜」なのか「○○お願いしますっ!!」なのかで印象はかなり違ってきます。失礼のない範囲でかつフランクに伝えるには「○○お願いします〜」のような音引き表現は柔らかさが感じられておすすめです。一方、目上の人には「お願いしますっ!!」とすると勢いがあって良いかもしれません。相手のキャラクターも見極めながら最適ポイントを見つけましょう。

(5)意図を正確に間違いなく

 テキストは読むのも大変。なので短く簡潔な文章を心がけるのはとても大事ですが、主語や述語、目的語など、重要な要素を省いてしまうと、相手の判断にゆだねる部分が広がり、こちらの意図が正確に伝わらないリスクが増加します。言葉の重要な要素は省かない、指示語の頻発は避ける、こちらの意図を明記する。そうしたことを心がければ文章が多少長くなっても相手が判断をする負担も減りますし、意図もしっかり伝わるはずです。

(6)一対一では話さない

 これは僕自身の経験の反省でもありますが、上下関係がある相手と1対1でメッセージしあうのはメンタルリスクが高いので避けるべきです。上司部下の関係でテキストメッセージをしあうと、次第に問い詰めになりがちですし、そうなると相手方の反論の余地をなくし、精神的に追い込んでしまうことになります。テキストの密室化はパワハラの温床となりやすいですし、証拠もしっかり残ります。お互いのために避けるべきです。

(7)いつも誰に対しても丁寧語

 これが最も大切で、最も簡単に実行できることです。

 自分が向かい合っている相手を人間として尊重する意識をもつ。相手に丁寧な言葉で接することでその意識を保ち続ける。もし相手との関係が悪くなって対面だと思わず語気が荒くなってしまう場面でも、テキストだと自然と一呼吸置けます。どんな相手にもどんなときにも、丁寧な言葉で接することを自らのルールとしましょう。あなたの品格と評判を高めることにつながるはずです。

誤解されやすいテキストにこそ「優しさ」を

 上記のTipsをより深くご理解いただくためにお伝えしたいことがあります。それは基本的にテキストコミュニケーションはストレスであるということです。今まで普通に出勤してオフィスで隣り合う同僚になにげなく話をしていたようなことを、全てテキストで伝えようとするととても手間ですよね。そのうえ、テキストでは「抜け落ち」がたくさん発生します。主語が抜けたり目的語が抜けたり。また忙しいと「誤読」も生じやすくなります。

 書く方も大変ですが、読み解く方も大変です。相手がどんな温度で書いたのか、急いでいるのか、怒っているのか、冗談なのか。意識合わせをするためにいちいち問い返さないといけないですし、それが頻繁過ぎると「わかってないやつ」と思われるかもしれない。情報が少ないがゆえに想像力が暴走し、ネガティブな感情のループにはまり、精神をすり減らしやすいのがテキストコミュニケーションです。

 だからこそ「相手の立場を慮るスマートな優しさ」が読み取れた時、強く惹きつけられますし、癒されもします。感情が伝わりにくいテキストで「相手を尊重する姿勢」や「優しさ」が垣間見えるときこそ、強固な信頼関係をつくるチャンスだと言えるのではないでしょうか。

 今回はテキストコミュニケーションの初級編を書きましたが、ご要望があればまたどこかで上級編も書いてみたいと思います。

≪第9回に続く≫

角 勝

株式会社フィラメント代表取締役CEO。

関西学院大学卒業後、1995年、大阪市に入庁。2012年から大阪市の共創スペース「大阪イノベーションハブ」の設立準備と企画運営を担当し、その発展に尽力。2015年、独立しフィラメントを設立。以降、新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業に対し事業アイデア創発から事業化まで幅広くサポートしている。様々な産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、オープンイノベーションを実践、追求している。自社では以前よりリモートワークを積極活用し、設備面だけでなく心理面も重視した働き方を推進中。





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